本日は、40代女性の方が
「出産後1〜2ヶ月から続く左手首の痛み」を訴えて来院されました。
ご本人は「腱鞘炎ではないか」とお話しされていました。
■ 〈初期評価〉
痛みは左手関節の橈側(親指側)に集中しており、
長母指外転筋・短母指伸筋の腱上には、わずかな発赤と熱感がありました。
これは育児期に多い“オーバーユース”の反応としてよく見られます。
また、掌屈(手のひら側に曲げる)と橈屈(親指側へ倒す)で痛みが誘発され、
自動・他動ともに同様の痛みが出ていました。
■ 〈触診で見えた体の特徴〉
手関節周囲にはいくつか特徴が見られました。
- 手首は 尺屈方向へ張力が偏る
- 小指外転筋、尺側手根屈筋、深指屈筋に硬さ
- 豆状骨がやや内側へ偏位
- 第1中手骨(親指の付け根)が掌側へ寄る傾向
- 前腕〜上腕にかけて、屈筋・伸筋ともに“中枢側”に緊張が溜まりやすい状態
産後・育児期の抱っこ動作が続くと、
こうした力学的な偏りが手首に集まりやすく、腱に負担がかかりやすくなります。
■ 〈施術の方向性〉
痛みのある部位に直接強いアプローチは行わず、
まずは 前腕・肘・肩甲帯の緊張バランスを整えること を中心に施術しました。
特に今回は、
- 前腕屈筋群・伸筋群の滑走改善
- 手根骨(豆状骨・大菱形骨など)の微妙な位置調整
- 肩甲帯の過度な“下制”による腕神経叢・前腕への負荷軽減
- 育児で使い過ぎた動作のクセの再教育
こうした「中枢 → 末梢」へのアプローチが効果的に働きました。
施術中には、最初に見られた発赤・熱感が消失し、
手首の動きがスムーズになり、可動域も改善してきました。
■ 〈施術を終えて〉
産後の手首の痛みは、局所の腱だけの問題ではなく、
「育児動作の偏り」
「腕や肩の使い方の癖」
「疲労の蓄積」
などが複合して起こりやすい症状です。
今回の方も、手首だけでなく、全体のバランスを整えることで
負担が分散され、痛みの軽減につながりました。
同じようなお悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度ご相談ください。



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