― 肩こりの奥にあった“からだの記憶” ―
40代・女性・保育士の方。
東京から引っ越してきて、行きつけのマッサージ店がなくなったため、新しいお店を探しているとのことで青竹に来院されました。
「理学療法士に身体を見てもらうのは初めてなので、ちょっと緊張しています」とのこと。
慢性的な肩こりと、ときどき感じる頭痛。二十年ほど前に腰椎ヘルニアになりかけたことがあり、今もときどき腰に重さを感じるそうです。仕事柄、重たい子どもを抱っこすることも多く、腰や肩への負担は相当なものだと想像されます。
【首の動きと、からだのつながり】
まず気になったのは、首を反らしたときに頭がわずかに揺れること。ご本人には自覚がありませんでしたが、頭部の安定感が少し乏しい印象でした。
触診では、後頭下筋群、腰部、そして胸部の傍脊柱筋(半棘筋や棘筋)にかけて筋の硬さが目立っていました。一方で、首の動きは比較的スムーズ。それに対して、腰部の可動性がかなり制限されていました。
姿勢を観察すると、やや反り腰傾向。おそらく、子どもを抱っこするときに無意識に腰を反らせて支える姿勢が日常的に続いているのでしょう。
【 “膝のゆるさ”を思い出す】
全身を丁寧に触れていくと、片方の膝関節に少しゆるさがあることに気づきました。尋ねてみると、「小さい頃から、膝がズレるような感じがしていました」とのこと。すっかり忘れていたようですが、施術を通して“からだの記憶”がよみがえったそうです。
この方には、大腿四頭筋を中心に筋力を保つことの大切さをお伝えしました。膝の安定は、腰や肩の負担にもつながります。また、今は症状がなくても、今後、違和感がでてくる可能性がある場所です。日頃のケアがとても大切になります。
【施術後の感想】
初めての施術で緊張しましたが、身体が整った感じがしました。まさか膝のことを思い出すとは思いませんでした。あれから膝を意識して運動するようになりました。
何より、施術を受けていて“これは医療だ…”と思いました。これまで受けてきたマッサージとは全然違いました。リラクゼーションというより、しっかり整体という感じがしました。
【おわりに】
ご来院、本当にありがとうございました。私は“医療的に治療している”という意識ではなく、あくまで身体のつながりを丁寧にみて、今の状態に気づいてもらうことを大切にしています。
けれど、臨床で培ってきた感覚が、結果として「医療的」と感じられることがあるのかもしれません。
身体はすべてつながっています。肩こりも腰痛も、膝の安定も、ひとつの流れの中にあります。そして、ほんの少しの気づきが、その流れを変えていきます。
さいごに、身体の深い部分の硬さは、繰り返すほど改善が期待できます。またのご来院を心よりお待ちしております。



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